浦和地方裁判所 昭和40年(ワ)569号 判決 1966年10月11日
原告 内藤勝男
右訴訟代理人弁護士 柴崎四郎
同 新井修市
被告 大竹高三郎
主文
被告は原告に対し、金一、二〇〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和三九年一一月一七日から同年一二月一五日まで年一割五分、同年一二月一六日から支払済まで年三割の割合による金員を支払え。
訴訟費用は被告の負担とする。
この判決は原告において金額三〇万円の担保を供するときは仮に執行することができる。
事実
原告訴訟代理人は主文第一、二項同旨の判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求原因として
(一) 原告は訴外日下部精治に対し(イ)昭和三八年一二月二五日に弁済期同三九年七月二五日利息年一割八分を毎月末日払と定めて貸与した貸付金九七三、〇〇〇円、(ロ)昭和三九年五月二五日に昭和三七年四月より同三九年五月二五日までの自動車の修理代残代金合計金六七、九八〇円と従来の貸金合計金四九、九五〇円との二口につき、いずれも弁済期同三九年七月二五日利息月五分毎月末日払と改めた準消費貸借による同額の貸金、以上総合計金一、〇九〇、九三〇円の貸金債権を有していた。
(二)原告は訴外日下部が前記債務につき元金は勿論利息も弁済しなかったので、昭和三九年九月三日同訴外人に対する前記(イ)(ロ)の貸付元金一、〇九〇、九三〇円および督促手続費用四、七八〇円につき、川口簡易裁判所から仮執行宣言付支払命令(昭和三九年(ロ)第九九号)を得、更に前記貸付元金のうち(イ)金九七三、〇〇〇円に対する昭和三八年一二月二五日から同三九年七月二五日まで年一割八分の割合による利息、および(ロ)の金六七、九八〇円および金四九、九五〇円に対する昭和三九年五月二五日から同年七月二五日まで年一割八分の割合による利息合計金一〇五、七〇二円につき同年一一月一三日川口簡易裁判所から支払命令(昭和三九年(ロ)第一三七号)を得た。
(三) そこで、原告は前記一、〇九〇、九三〇円と督促手続費用四、七八〇円合計金一、〇九五、七一〇円の仮執行宣言付支払命令に基づき、日下部の訴外鈴木シャタア工業株式会社に対する同額の売掛代金債権に対する差押並びに転付命令(浦和地方裁判所昭和三九年(ル)第一八五号同年(ヲ)二四七号)を得たところ、訴外日下部より被告の連帯保証のもとに右鈴木シャタア工業株式会社から転付を受ける右金額を改めて借してほしいと懇請され、右を取立て一旦前記債務の元金の弁済にあてたうえ、更に同額の金員を同訴外日下部に貸付けることにし、昭和三九年一一月一六日原告と同訴外人との間で右金一、〇九五、七一〇円に前記利息合計金一〇五、七〇二円を加えた金一、二〇一、四一二円のうち一、四一二円を免除し、金一二〇万円を貸付元金として、利息一ケ月二四、〇〇〇円翌月から毎月一五日払、元金は昭和三九年一二月から同四〇年三月迄は毎月一五日限り金一万円宛、同年四月以降は毎月一五日限り最底額二万円宛支払い昭和四一年六月二五日に完済すること右利息の支払を一ケ月以上怠ったときは直ちに期限の利益を失い残元利金を即時支払うこと、遅延損害金は日歩一〇銭とするとの約定による準消費貸借契約に改め、翌一七日前記金一、〇九五、七一〇円を日下部に交付した。
(四) そして、右同日被告は原告に対し訴外日下部の右消費貸借契約上の債務の履行につき連帯保証契約をした。<以下省略>。
理由
被告の主張するところは、その趣旨必ずしも明確ではないが、要するに、被告は原告主張の訴外日下部の原告に対する金一二〇万円の債務につき連帯保証契約をしたことは認めるけれども、当時、現金の授受による金銭消費貸借はなく、右一二〇万円という金額は、それ以前に原告と同訴外人間の貸金債権を準消費貸借に改めたものであって、その旧債務について連帯保証をしたことがないから、原告主張の本件債務について連帯保証の責務はないという趣旨に解されなくはない。しかし、その旧債務に連帯保証をしていなくてもこの旧債務につき、改めて、消費貸借の目的とする準消費貸借契約とし、その準消費貸借に連帯保証をしたときはそれについて連帯保証人としての責任を免れ得ないのである。
ところで当事者間に成立につき争いのない甲第一号証、同第二号証の一、二、同第三ないし第四号証並びに証人日下部精治の証言および原告本人尋問の結果を綜合すれば、原告主張のとおり、原告は訴外日下部に対し昭和三九年一一月一五日頃までに合計金一、二〇一、四一二円の貸金債権等を有するに至っていたが、これより前、同訴外人の支払がないためやむなく、同年一一月七日、内金一、〇九五、七一〇円につき同訴外人の訴外鈴木シャタア工業株式会社に対して有する同額の売掛代金債権を差押えかつ転付を受けたことから、同訴外日下部の懇願するところとなり、結局、同年同月一六日、原告が右訴外会社より支払を受くべき右同額の金員を更に同訴外日下部に貸与するとともに、その余の債権額のうち一、四一二円を免除し、これを合計して一二〇万円とし、同額につき、原告主張のような内容による金銭準消費貸借契約に改めそして、この契約の履行につき被告が連帯保証するに至った<省略>ことが認められる。<省略>さすれば、被告は、前段説示に従い、原告主張の本件一二〇万円の金銭準消費貸借契約による、債務につき連帯保証人としての責任があり、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し<以下省略>。